天津中医鍼法会について

中医学とは

中医学とは、中国に古くから伝わる「伝統医学」であり、鍼灸治療・漢方・推拿(すいな)など、様々な治療法があります。

病気を部分ではなく全体として捉える

中医学の大きな特徴は、病気を部分ではなく全体として捉えることにあります。例えば、腰が痛い患者さんの治療の際に、手足にも鍼を打つことがあります。これは、腰の痛みを腰という部分のみの病気と考えず、身体全体の病気ととらえ、身体全体の滞りを通じさせているのです。

自然の変化が与える影響を考慮する

また、中医学では人それぞれの異なる体質のほかに、自然の変化が与える影響を考慮します。例えば、日本に住んでいれば、梅雨から夏にかけて高い湿度の影響を受けます。この結果、身体に溜まった湿が身体全体のだるさや食欲減退といった影響を及ぼし、病気を引き起こしていると考えます。そのため、治療の際には身体に溜まった湿を取り除く治療法がとられるのです。

中国はりとは

中国鍼は「鍼が太く長くて痛みが大きい」という負のイメージを持っていませんか?
中国鍼灸は治療効果が高く、様々な疾患に対応することができる治療法です。
また、日本人の体質に合わせて鍼を細くするなど、調節することができます。
確かな治療効果を持つ中国鍼灸を日本という風土、日本人の敏感な体質に合わせていくことで、痛みが少なく効果の高い治療法となっています。

治療効果の高い中国鍼灸

本場中国では、日本よりも鍼灸治療が普及しており、医療の一端として重要な役割を持っています。
例えば、脳卒中で倒れ、入院している患者様の身体の麻痺を取るため、入院中から鍼灸治療を開始します。鍼灸治療を速い段階から取り入れることで、後遺症を軽くすることができるのです。
また、顔面神経麻痺、精神疾患、交通事故の後遺症など、様々な病気をもつ患者様が病院で鍼灸治療を受けています。
確かな治療効果がある、それが中国鍼灸なのです。

日本人の体質に合わせた治療

本場中国に比べると、日本人はより敏感な体質の方が多く、中国鍼灸の刺激が強すぎる場合があります。
個々の体質を見極め、鍼の太さ・長さ・本数を調節し、刺激量を調節していくことも治療の一つです。
治療効果を減らすことなく、痛みを少なくする治療が可能なのです。

 

漢方について

生薬が決められた割合で配合されている

漢方薬とは一般的に、天然物由来の物質(「生薬」)を二つ以上組み合わせた医薬品を指します。「生薬」は植物に由来するものだけでなく、動物や鉱物に由来するものもあります。

生薬を複数組み合わせることによって、さまざまな相互作用が生まれます。ある生薬の成分が特定の成分に作用して薬理作用、吸収促進、代謝阻害、相互作用、副作用防止などをするのです。

同病異治と異病同治:「証」に基づいて処方が決まる

同じような症状なのに処方が異なることを「同病異治」、違う症状なのに同じ処方になることを「異病同治」と言います。漢方の処方ではしばしばこのようなことが起きます。患者様の症状を総合的にとらえて「証」を診断し、「証」に基づいて漢方薬が処方されるのです。症状が違っても「証」が同じであれば処方が同じになることもありますし、逆に症状は似ていても違う「証」であれば、処方は異なります。

西洋薬との違い

西洋薬は、一つの有効成分を抽出したものになります。ですから、「熱を下げる」「痛みを抑える」「血圧を下げる」など、一つのお薬が一つの症状に使用されることになります。お薬の処方を決める基準は検査結果や数値になります。

一方、漢方薬は複数の有効成分を含むお薬です。そのため、作用も複数あり、複数の症状に使用されることになります。お薬の処方を決める基準は「証」であり、病状、患者様の体質、季節、環境などを総合的にとらえて診断します。

このため、漢方薬は「検査結果・数値」で診断できない症状にも適用することが出来ます。